休職からの復職支援の進め方
手順と職場ができる配慮を産業医が解説
メンタル不調やケガ・病気で休職した社員が、「そろそろ復帰したい」と言ってきた——このとき、会社としてどう進めればいいか迷う担当者はとても多いです。焦って戻して再発してしまうことも、逆に慎重になりすぎて本人が孤立してしまうこともあります。
復職支援には踏むべき手順があります。この記事では、休職から復帰までの流れと、各段階で職場ができる配慮を、産業医の立場から整理してお伝えします。
まず結論
- 「主治医が復職OK」と「働ける状態」は必ずしも同じではない
- 復職は本人・主治医・会社・産業医の4者で判断するのが基本
- いきなりフル勤務に戻さず、段階的に負荷を上げる
- あらかじめ社内に「復職支援の手順(ルール)」を決めておくと迷わない
- 復職後3〜6か月のフォローが、再発を防ぐ最大のカギ
休職中の関わり方
まず、休職に入った直後はしっかり療養に専念してもらうのが第一です。ただ、連絡を完全に断つと本人は「見捨てられた」と感じ、会社は状況が分からず不安になります。連絡の頻度・方法・窓口をあらかじめ決めておくとお互いに安心です。たとえば「月1回、人事担当者にメールで近況を送る」程度で十分です。上司ではなく人事など、評価と切り離された窓口が望ましいでしょう。
復職までの5ステップ
ステップ1: 本人からの復職の申し出
復職は本人が「働けそう」と感じ、申し出るところから始まります。会社から復帰を急かすのは禁物です。
ステップ2: 主治医の診断書を受け取る
「復職可能」と書かれた主治医の診断書を提出してもらいます。ただし注意したいのは、主治医の「復職可能」は、日常生活が送れるレベルを指していることが多いという点です。通勤に耐えられるか、1日8時間働けるかまでは、必ずしも診断書だけでは分かりません。
ステップ3: 産業医などによる復職面談
ここが最も大切な段階です。産業医(いない場合は会社が委託する医師)が本人と面談し、「仕事ができる状態まで回復しているか」を職場の視点で確認します。生活リズムは整っているか、集中力は戻っているか、通勤の予行練習はできているか、などを見ていきます。必要に応じて主治医に情報提供を求めることもあります。
ステップ4: 復職判定と職場の受け入れ準備
面談の結果をもとに、会社が最終的に復職を判定します。あわせて、戻る部署・業務内容・当面の働き方(時短や残業免除など)を決めます。元の部署に戻すのか、負荷の軽い部署にするのかも、この段階で検討します。
ステップ5: 段階的な復帰(リハビリ勤務)
いきなりフルタイム・フル業務に戻すのは再発リスクが高いため、短時間勤務から始めて少しずつ負荷を上げるのが基本です。たとえば最初の2週間は午前中のみ、次の2週間は6時間、その後フルタイム、というように段階を踏みます。制度として「試し出勤(リハビリ出勤)」を設けている会社もあります。
復職後こそ大切な「フォロー」
復職はゴールではなくスタートです。実は再発は復職後の早い時期に起こりやすいもの。復職後しばらくは、産業医面談を定期的に設定し、本人の様子を継続的に見ていきます。上司には「無理をさせない」「調子を尋ねすぎない」といった関わり方を共有しておくと安心です。目安として、復職後3〜6か月は手厚くフォローする意識を持ってください。
あらかじめ「復職支援プログラム」を作っておく
いざ復職者が出てから対応を考えると、判断がぶれたり、本人ごとに扱いが変わって不公平が生じたりします。休職・復職のルールを就業規則や社内手順として整えておくことを強くおすすめします。厚生労働省も「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を公開しており、これを土台に自社版を作ると進めやすくなります。
- 休職中の連絡方法・頻度・窓口
- 復職の申し出から判定までの流れ
- 誰が復職を判定するか(産業医の関与の仕方)
- リハビリ勤務の期間・進め方
- 復職後のフォロー面談の頻度
まとめ
復職支援は、①休職中の適度な関わり → ②本人の申し出 → ③主治医の診断書 → ④産業医面談 → ⑤段階的復帰 → ⑥復職後フォロー、という流れで進めます。カギは「主治医のOK=働ける、ではない」ことを理解し、職場の視点で回復を確認すること。そして、あらかじめ手順を決めておくことです。困ったときは、産業医に相談しながら一つずつ進めていきましょう。
復職支援の体制づくりをお手伝いします
Nexus Health & Wellness では、復職面談から復職後のフォロー、社内の復職支援ルールづくりまで対応しています。
「休職者が出たが、どう進めればいいか分からない」段階のご相談も歓迎です。